菊花賞 展望 よすーけ氏

(※当記事は、こやぶ厩舎メルマガ #283としてお送りしたものです)

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菊花賞(G1) 展望

京都芝A・外回りの3000m戦。トライアル等で同距離のレースが施行されていないにもかかわらず、クラシック三冠の最後に持ってくるという、関係者泣かせ、および馬券ファン泣かせのレース。2400前後のレースを見て、折り合いやスタミナ等を判断する必要がある。

01 マイネルフロスト 13人気
叩き2走目。前走は4角の流れが速くなるところで大外を回ってスパートしたことが原因で、最後まで脚が続かなかった。今回は最内枠でロスなく周回できるし、位置取りも、他馬がポジション争いをしている間に楽に前目につけられそう。最内を突いて穴を空けたダービーを見ても、条件が揃えば上位に食い込む力はある。買うかどうかは別として、条件的には13人気の馬ではない。

02 トーホウジャッカル 3人気
使い詰めになるが、調教過程や動きを見る限り、疲れやデキ落ちは見られない。ダート戦で良くみられる戦法だが、好位から前を捉えて勝ちに行く、いわゆる好位差しの競馬が板についてきており、その点では仕掛けが早い酒井騎手とは手が合っていると言える。前回の好走が評価されて今回は3人気に推されている。前の馬を捕まえに行ったり、並ばれると抜かせない根性を見せるが、後ろから来られた時に抵抗できるか、その辺りに疑問点が残る。舌を出したり左右にヨレたりと、走りにはまだ幼さが残っており、3000mの長丁場を我慢しきれるか、要注目。

03 サングラス 15人気
叩き3走目。ハナを切ってどこまで粘れるかだが、トゥザワールドを始め有力馬が早めに仕掛けてくるため、かなり厳しいと見る。

04 サウンズオブアース 4人気
叩き2走目で、藤岡佑騎手から蛯名騎手に乗り替わり。京都向きと見て神戸新聞杯では消し評価にしたが、Bコースを利して外から差してきた。折り合いがつくので距離延長でのマイナス面は他馬より少ない。ギアチェンジが非常に速いため、内回りでよりアドバンテージを得られるが、外回りが割引という意味ではない。好勝負になる。

05 シャンパーニュ 16人気
夏から使われていて、上積みがない。このメンツだと特筆できる武器もなく、かなり厳しいと言わざるを得ない。

06 ショウナンラグーン 6人気
叩き2走目。ゲートの出が良くないことも相まって、恐らく後方追走になるだろう。ちらほら印がついているが、菊花賞は最後方待機から直線だけの競馬では勝負にならない。連対圏に突入するには早めに動く必要があるが、そういった競馬を1度として経験していない。過剰人気と見る。

07 トーセンスターダム 5人気
叩き2走目で、クラシック皆勤賞を達成。3人気の皐月賞・5人気のダービー・3人気の神戸新聞杯、全て消し評価を下し、結果全て着外。京都で3戦3勝だが、ポジションを取れるわけでも、他馬と一線を画す末脚を使えるわけでもない。この手札でG1に挑むのはかなり難しく、ましてや5人気では手が出ない。連に絡むには、淀の3000mを知り尽くしている武豊騎手の手腕に懸けるしかない。

08 ワールドインパクト 12人気
叩き2走目。前走は輸送で大きく馬体を落とし、戻しながらの調整。左右ソツなく走るが、左回りのほうが上手い印象がある。スタミナがあるので脚が鈍ることはないと見るので、道中の位置取りがカギになる。

09 ハギノハイブリッド 9人気
叩き2走目。しっかり仕上げられていたため、神戸新聞杯では相手大本線に指名。しかし、外差しの利きやすい馬場で、福永騎手はなぜか1頭だけ最内を選択、惨敗した。この人気なら引き続き押さえたいところだが、やはり左回りのほうがスムーズだし、何より福永騎手が重賞で毎週のように人気馬に騎乗し、毎週のように着外になっていることを鑑みると、積極的には手を出せない。余談だが、昨日の富士Sではダノンシャークで早め先頭の競馬を試みていた。謎である。

10 ゴールドアクター 7人気
夏の札幌で連勝したあと、2ヶ月の放牧明け。洋芝や時計の掛かる馬場で結果を出しているが、早め先頭から後続を凌ぐ競馬をするなら、京都の芝でも十分通用するのではないか。調教も手抜かりなく積まれているので、ぜひとも買い目に加えたい1頭。

11 アドマイヤランディ 18人気
前走、京都の1800mで最後方からごぼう抜き、鮮やかに差し切って見せた。この競馬をすれば力は出せると見るが、そういえば、この1800m戦はダートでのもの。菊花賞は、ダートではなく芝で施行されることを覚えておきたい。

12 タガノグランパ 10人気
叩き2走目。シンザン記念◎、なずな賞◎、アーリントンカップ○、ファルコンS◎とマイル以下では続けて重い印を打ってきたが、皐月賞以降は1円たりとも買っていない。途中で脚を小出しにすると終いが甘くなるタイプなので、出たなりで我慢したいところ。折り合いがつくので、距離延長には意外と対応するかもしれない。できれば前に馬を置いて、兎にも角にも我慢が必要。10人気なら押さえる価値はあるかもしれない。

13 ミヤビジャスパー 14人気
中5週での参戦。安定感に欠けるが、毎回しっかり脚は使う。もっと内だったなら穴で狙えたかもしれないが、能力的にもこの枠からでは厳しい。中団につけられればチャンスはあるが、後ろからでないと脚が溜まらない、力を発揮させるのが非常に難しい馬。

14 トゥザワールド 2人気
叩き2走目。セントライト記念では内回りを利して早め先頭、イスラボニータに雪辱を期したが、果たせず。やはり先行馬同士では目標にされる弱みがある。弥生賞◎、皐月賞○、ダービー○と、その完成度の高さから春は重い印を打ってきたが、今回はどうか。おそらく先団での競馬になるが、京都では目標にされるとかなり厳しいので、できれば直線までに数馬身のアドバンテージが欲しい。この馬はギアチェンジがかなり早いため、一瞬でトップスピードに乗れるが、こういった馬は持続力に欠けるという弱点を併せ持つ場合が多い。そうなると仕掛けをできるだけ遅らせたいが、外回りでは下り坂を利してスパートしてくる馬が数多くいる。遅らせて後ろの馬との追い比べに持ち込むか、早めに脚を使って粘り込みを狙うか。川田騎手は三冠最後の鞍上でひとり、究極の選択を迫られる。

15 ワンアンドオンリー 1人気
叩き2走目。神戸新聞杯では自信の◎だったのだが、外から2頭に追い詰められたところがゴール。タイム差なしの辛勝だった。これをどう見るかが、今回の菊花賞を占ううえでの最大のポイント。前走単勝160円、今回260円という点を見ると、やはり印象が悪かったようだ。叩いて順調に良化しており、今回は自分の競馬に徹すると見る。

16 サトノアラジン 8人気
夏から続けて使われたが、形では叩き2走目。前走2人気から今回8人気と一気に株価が下がっているので、前走あのオッズで買っていたのであれば、今回買わない手はないだろう。早め先頭から惰性で押し切るスタイルからも、阪神よりも京都向きであることは間違いない。条件好転で人気は暴落。バランス的には最も美味しい馬だと言える。今回は近くにトゥザワールドがいるので、浜中騎手はこれを目標に動くことになるだろう。前走後ろから差されていることも踏まえると、できる限りは我慢したいところ。トゥザワールドが仕掛けるまで動かない可能性が高いと見る。馬連は1人気との組合せでも30倍以上つくため、押さえに一考。

17 ヴォルシェーブ 11人気
こちらも叩き2走目。神戸新聞杯では、「直線勝負に徹するため、能力が足りないことを承知で押さえる」としたが、早めに動いたサトノアラジンを捉えきれず5着入線。今回はそれを踏まえてもう少し前での競馬になる。前にも後ろにも有力馬が控える今回、器用貧乏タイプのこの馬はかなり厳しい戦いを強いられる。

18 メイショウスミトモ 17人気
ダートで11戦3勝。前走も捲り気味に動いて後続を封じたが、そういえば菊花賞は、ダートではなく芝で施行されることを覚えておきたい(2回目)。メイショウドンタクの再現を狙うなら、前へ行っての粘り込みだが、果たして。

トライアル最注目レースであった神戸新聞杯。ここで本当に見るべきなのは、最終着順ではなく、3~4角での各馬の動き。
「早めに動いて先頭、結果、脚を無くして着外になる」として消し評価にしたサトノアラジンは、ものの見事にその通りに動き、ものの見事に着外に沈んだ(#264「神戸新聞杯 展望」参照)。
ワンアンドオンリーは直線勝負と見ていたが、こちらも3角で一気に動いてサトノに並びかける競馬。これは相手がサトノアラジン1頭で、後ろから差されることはない、と横山典騎手が考えていたことの裏付けになる。ここで勝負あり、と人馬ともに思ったところに、外からの強襲を受けた。本来なら抵抗できずに鮮やかに差し切られているタイミングであったが、ワンアンドオンリーはそこから差し返してみせた。今回は前走ほど人気になっていないが、その能力には大きな差があると言える。

逆に展開利を得たサウンズオブアースとトーホウジャッカルはワンアンドオンリーに迫ったところがゴール。今回も自分の競馬に徹すれば力を出せると見るが、厳しい競馬をしたダービー馬と、十二分に展開利を得た伏兵馬。勢力図を塗り替えるだけの力はあるか。

2400m戦ならこういった見解でかなり的中に近付けるのだが、今回は未知の3000m戦。
不確定要素が多いため、大勝負はしない。

以上を菊花賞展望とさせていただきます。

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