東京5R
2歳新馬《芝1800m》
【勝ち馬】スライリー
父 オルフェーヴル
母 ビジョナリー(ディープインパクト)
【評価】★★★【★3】
広島東洋カープのマスコットが新馬勝ち。
【血統】
父は三冠馬オルフェーヴル。
初年度の世代はGI馬を2頭輩出したものの、勝ち上がりが悪く評判はイマイチ。
種牡馬入り同期のロードカナロア産駒が勝ち上がり率が高いだけでなくアーモンドアイやステルヴィオを生み出したこともあり、馬産地での評価は総体的に低調。
2世代目の成績も大きく水をあけられて種付け料大幅ダウンの憂き目を見た。
が、現3歳世代・・・つまり種牡馬としての3世代目で状況が好転。
ロードカナロアが重賞未勝利に終わる中、オーソリティとシャインガーネットが重賞勝ち。
年長馬もラッキーライラックが大阪杯を制して気を吐く等、評価が戻りつつある。
産駒は軽い芝では一瞬の切れ味を武器にするが、道悪になっても問題なく対応。
ダートではむしろ芝よりも勝率があがるくらいで、色んな条件で潰しの利く良い種牡馬といえそう。
だが、中央の重賞を勝った5頭はいずれも芝で、その内2頭がGI馬になっているように低額条件でのアベレージよりもOP級馬の一発長打が魅力。
祖母ターキーは弟にダノンシャークがいる血統馬。
一族からは他に凱旋門賞馬モンジューが生まれており、こちらもどちらかと言えば一発が魅力の血統。
その父シンダー産駒は日本に10頭ほどが輸入されて競走生活を送ったが、中央競馬で勝利したのはわずか2頭。
うち1頭がターキーなわけだが、中山・福島の中距離戦で勝利しているように瞬発力やスピードといったタイプではない。
ブルードメアサイアーとしてもムーンリットレイクがいる程度の実績で、やや心許無い構成となっている。
母ビジョナリーはそこにディープインパクトの軽い血をミックスしたわけだが、故障に悩まされて2戦のみで引退。
繁殖入り後は人気種牡馬を連続して付けられているように期待はされているのだろうが、やはり血統的な重たさのせいか、その期待に応えられてはいない。
オルフェーヴルの意外性でどこまで。
【パドック】
小柄でコロンとした体付き。
体の使い方が印象的で、関節の柔らかさも及第点。
新馬としてはしっかり仕上がっており、このパドックでは目を引く馬であった。
【レース内容】
13.0 – 11.3 – 12.6 – 12.6 – 12.5 – 12.4 – 11.3 – 11.7 – 12.3
五分のスタートからジワッと出して先行策。
外2頭が主張したため譲り、インのポケットでレースを進める。
道中はやや前向きな部分を見せはしたが、それでも鞍上の指示通りしっかりと脚を溜めて直線へ。
直線では前2頭の走行が真直ぐではないため、間隙を突くかどうか長く逡巡していたが、ラスト1Fで腹を括って外に進路を取ると鋭伸。
粘る2頭を競り落として新馬勝ち。
晴・良発表とはいえ、雨が続く時期だけに馬場はパンパンとは言えず、それを考えれば勝ち時計はまずまず優秀。
ラップ構成もラスト3Fに最速がきており、逃げ先行馬には少しキツい競馬だったと思われ、内容としても悪くなかったと言えそう。
ただし、上記のように重厚さに勝る血統だけに、キレッキレの末脚が要求される春や秋の府中開催だったなら・・・と考えると何とも言えない状況。
とりあえずは水準以上の評価とするが、次走試金石。
東京1R
2歳未勝利《芝1600m》
【勝ち馬】ジュラメント
父 キズナ
母 ダイワジャンヌ(タニノギムレット)
【評価】★【★1】
【血統】
近親にアスカリーブルーアクアリーブルの母仔がいる血統。
イマイチパッとせず、奥が深いとはお世辞にも言えない。
父キズナのポテンシャルでどこまで伸びるか。
【パドック】
新馬戦の時にtwitterでパドック診断して推した馬。
その時と同じ気配で、好走必至の雰囲気。
馬としては小柄で仕上がり早。
いかにもこの時期の未勝利を勝ち上がる馬といった感じ。
【レース内容】
12.8 – 12.1 – 12.9 – 13.0 – 12.7 – 11.4 – 11.0 – 11.7
五分のスタートから促されつつハナへ。
主張する馬はおらず、労せず先頭に立つとあとはマイペースで逃げ切り。
鞍上のペース配分が光ったレース。
直線入り口で外の馬にぶつかられる不利を跳ね除けての勝利で、その精神力は讃えたい。
このレース4着のエナジーロッソだが、直線で内へ内へとモタれる悪癖を披露。
鞍上が必死に真直ぐ走らせようとしていたが奏功せず。
新馬戦でもこの癖を見せたためほとんど追えないまま3着しており、右回りコースに変わって改善されるならば鮮やかに勝ち切ってもおかしくない。
今回の敗戦で次走人気を下げることは必至で、ぜひ狙いたい1頭。
ただし、ダート血統ということでダート変わりは過剰人気になりそう。
阪神5R
2歳新馬《芝1200m》
【勝ち馬】メイショウイチヒメ
父 メイショウボーラー
母 メイショウマンボ(スズカマンボ)
【評価】【★】
GI3勝馬メイショウマンボの初仔が新馬戦を快勝。
【血統】
父母共に松本オーナーの元で走った馬。
この勝利は氏にとっても非常に嬉しい勝利だっただろう。
父メイショウボーラーは芝ダート問わず活躍した快速馬。
フェブラリーSを制し、重賞は合わせて5勝。
読んで字の如く「快速」といったイメージの馬で、産駒にもそういった馬が数多い。
産駒の勝利最長距離は芝で2000m、ダートでは2100m。
それより長い距離では連対どころか複勝圏内すら1度もないという分かりやすい種牡馬。
仕上がり早、且つ使い減りせず長持ちといった特徴はマツリダゴッホに通じるものがあるが、一本調子のスピード馬なのでダートの短距離でそれなりに活躍する産駒がチラホラ。
母メイショウマンボはオークス・秋華賞・エリザベス女王杯を制した名牝。
晩年の成績がかなり低調だったために評価されていないが、勝ち鞍を冷静にみれば十分名牝と言える成績だ。
母系は意外性の塊で、四歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)で穴を開けたメイショウアヤメや、フィリーズレビューを11番人気、ローズSを7番人気で制したマイネレーツェルなどがいる。
私が単勝で大口勝負したらスタート直後に落馬したオープンウォーターもこの血統か。
とかく穴を開ける血統なので、そんな馬に成長するかもしれない。
【パドック】
小柄ながらバランスのとれた良い馬。
ただ、身のこなしからは身体能力の高さはそれほど感じず、レースにいってどうだろうかというのが第一印象だった。
【レース内容】
13.0 – 12.0 – 12.4 – 12.5 – 11.5 – 11.2
五分のスタートながらダッシュが付かず後方から。
新馬戦らしく馬群が安定しないままレースが進み、3角で狭くなるシーンがあり大きくブレーキを踏んで馬群の最後方へ。
それでもしっかりと立て直すとスルスルとポジションを上げて3.4コーナー。
ここで外から一気に捲っていくと、直線では比較的楽に前に並びかける。
ラスト1Fでステッキが入ると前を捉え、最後は外から追い上げてきたアルーリングギフトを凌いで新馬勝ち。
ラップを見て分かるように、まだまだ余力を残した勝利。
序盤で大きな不利を受け、そこから先に進出しての押し切り勝ちは2着馬と着差以上に力の差があると評価すべき。
同日1R2歳未勝利(芝1400m)の1200m通過タイムより3秒も遅い走破時計からも分かるように、超低レベル戦。
勝ち馬を別格と見るが、評価は水準クラスまで。
2着以下・・・特に先行して止まった馬たちはかなりの駄馬と見て良い。
阪神1R
2歳未勝利《芝1400m》
【勝ち馬】ゴールドチャリス
父 トゥザワールド
母 シルバーチャリス(Rainbow Quest)
【評価】★【★1】
【血統】
今もいるにはいるが、母父レインボークエストは化石血統と言っても良い。
父トゥザワールド産駒はスピード不足の馬が多く、芝レース6勝の内4勝が稍重以上の馬場。
とにかくスピード不足が目に付く血統で、ここで勝ち上がれたのはラッキーだったかもしれない。
【パドック】
実はこの馬もtwitterのパドック診断で推していた馬。
その新馬戦は残念ながら4着だったものの、この日もそん色ない仕上がりで好感が持てた。
【レース内容】
12.5 – 10.7 – 11.2 – 11.5 – 11.7 – 11.4 – 12.7
好スタートから馬の行く気に任せて先行策。
3角までに単独先頭に立つとそのままスピードを落とさず軽快に逃げる。
直線に向いても脚色は衰えず、ラスト1Fで大きくラップを落としたが後続に追い上げる余力がなく逃げ切りV。
よほどの成長力が無い限り今後芝で活躍するのは難しそう。
ダート転向ならば1勝クラスでも馬券に絡める可能性は秘める。
2着カスティーリャは追いかけてバタバタ。
こちらも早い時期の未勝利か来年の春くらいの未勝利なら勝てそうだが、それ以上を望める馬ではない。
3着ステラリアが素質としては一番高そうだが、それでも1勝クラスで掲示板の下に来ればいいかなといった感じ。
ステラリアは2戦続けて同じような負け方で、これは恐らく馬のクセによるものか。
次走きっちり対策してくれば勝てる。
函館5R
2歳新馬《芝1200m》
【勝ち馬】フォドラ
父 ロードカナロア
母 セイングレンド(バブルガムフェロー)
【評価】★★【★2】
【血統】
祖母グレイスルーマーは自身こそローズS3着のクーデグレイスくらいしか輩出できなかったが、孫世代にラブリーデイを輩出している。
ラブリーデイの以外のきょうだいは奮わないが、それでもパンコミードやボッケリーニが高額条件で頑張っており、活力としてはそれなりにある母系。
また、クーデグレイス産駒もブラックプラチナムやグレイシアが現役で頑張っており、やはり牝系として広がりを見せるポテンシャルは秘める。
一族の勝利はほとんどが芝なのだが、その中で異彩を放っているのがセイングレンドの産駒たち。
種馬の影響もあるのだろうが、ダートを主戦に勝ち上がる馬が多く、唯一芝で勝ち上がったホーリーレジェンドは故障で早期引退を余儀なくされた。
この馬は父がロードカナロアに変わって芝ででれくらいやれるか、今後に注目だ。
【パドック】
小柄で仕上がりの早そうなタイプ。
全体的に硬さはあり、洋芝を走る分には問題ないが、軽い芝となるとどうか。
【レース内容】
12.4 – 11.0 – 11.3 – 11.5 – 11.4 – 12.0
好スタートから押してハナへ。
過度に競ってくる馬もおらず、マイペースに逃げてそのまま押し切った。
ノーステッキでの逃げ切りだが、スタートして200m通過時点で4番手までにいた馬がそのまま4着までに入る全く中身のない競馬。
次走人気するなら切ってしまった方が妙味がある。
走破時計は立派なので、1勝クラスならばスピード任せの競馬でどこかでチャンスがあるかもしれない。
函館5R
2歳新馬《ダ1000m》
【勝ち馬】ルーチェドーロ
父 マクフィ
母 アラフネ(クロフネ)
【評価】★★★【★3】
【血統】
父は名馬ドバイミレニアムの忘れ形見ドバウィ・・・の産駒マクフィ。
10戦7勝GI4勝という成績を引っ提げて4歳で種牡馬入りするも翌年4月に急死したドバイミレニアム。
僅か1世代しか産駒を残せなかったが、その中から8戦5勝GI3勝のドバウィが出て後継種牡馬に。
そのドバウィが種牡馬入りするや産駒が大活躍し、ドバイミレニアムが生きていたら一体どれだけの産駒が活躍したのかと妄想してしまうくらいだった。
そんな奇跡の血を継ぐのが(他にも多数後継種牡馬はいるが)マクフィである。
ここまで日本で競走馬となった産駒は10頭と少ないが、そのうちの1頭が4勝を挙げたアールブリュットで、彼女は洋芝の北海道だけではなく東京や新潟でも勝利を挙げた。
この2歳世代はルーチェドーロ以外にもマクフィ産駒がデビューしており、ここまでのところ複勝率45%となかなかの好成績を残しているので、要注目。
曾祖母アサカマンボウは欧州で活躍したデュークオブマーマレードの姉という良血。
その近親にはエーピーインディやレモンドロップキッド、フォティテンなど活躍馬がズラリ。
ただし、日本での成功サンプルがダンツホウテイくらいしかおらず、馬場適性の面で疑問がある。
母アラフネは中央で3勝を挙げたが、その産駒が中央競馬で勝ち上がるのは初めてのことで、血統的天井は低いかもしれない。
【パドック】
やや覇気に欠けるがいかにもパワータイプの短距離馬といった体付き。
歩様からダートを使ったのは賢明な判断だったように映るが、父のポテンシャルが本物であれば芝でいきなり走っても不思議はない感じ。
ここは出走馬のレベルが特に低く、一際目を引く存在だった。
【レース内容】
12.3 – 10.9 – 11.8 – 11.3 – 12.2
五分のスタートから促して先頭へ。
この時点でスピードが違い過ぎた。
3角では後続は付いて行けず、直線は流してゴール。
力が違う圧勝劇。
走法がカッコ良く、やはり芝で見てみたいなと思わされた。
ダート1000m戦だが3角で溜めて再加速する競馬ができており、もし函館2歳Sに出ても買ってみたい1頭。
函館1R
2歳未勝利《芝1200m》
【勝ち馬】フォルセティ
父 トランセンド
母 コリーヌ(スペシャルウィーク)
【評価】★【★1】
【血統】
生粋のノースヒルズ血統。
父トランセンドの産駒は主にダートで活躍しているが、少し重めの芝ならば勝ち負けできるスピードを持っている馬が多い。
まだ大物こそ出せていないが、3勝クラスで長く稼ぐシブい馬を複数頭輩出しており、中堅クラスの種牡馬といえるだろう。
母系も軽さよりパワーの血で、いずれはダート路線へ行くことになりそう。
【パドック】
特筆すべきものはほぼなく、普通の馬。
【レース内容】
12.4 – 10.6 – 11.5 – 12.2 – 11.6 – 12.3
スタート微妙で後方から。
そこから押して押してリカバリーしてハナに立つ力技。
かなりのパワープレイで他馬の脚を全て奪ったため直線では突き放す一方。
そのまま逃げ切りVとなった。
スタート直後の遅さは致命的で、たまたま前の馬が前を閉めなかったからリカバリーできただけ。
騎手の好判断が光ったレース。
評価は上がらない。



