東京5R
2歳新馬《芝1600m》
【勝ち馬】ブルーシンフォニー
父 スクリーンヒーロー
母 ブルーストーン(コマンズ)
【評価】★★★★★★【★6】
スクリーンヒーロー、世代2頭目の勝ち上がり。
【血統】
父は一つ前の記事にも登場したスクリーンヒーロー。
この産駒の特徴として、切れ味勝負よりも持久力勝負の方が強いと言う事が挙げられる。
父や祖父は現役時代その気性の素直さに定評があったが、それが産駒にも受け継がれているのだろう。
道中で無駄な力を使わないのでレース終盤にスタミナを残しておけるのだ。
母は日本で競走馬として活躍したブルーストーン。
ダートの短距離を主戦場にOPクラスまで上り詰めた素質馬で、その2番仔になる。
一つ上の全姉ブルーミストは新馬戦の3着のみを走って繁殖入り。
姉の分まで活躍してほしいものだ。
【パドック】
母父のコマンズが強く出た印象のパドック。
胴が詰まり、やや貧弱なトモにスラッとした四肢。
脚の運びは非常にスムーズで品のある馬に映った。
【レース内容】
13.1 – 12.1 – 12.6 – 12.5 – 12.2 – 11.5 – 11.5 – 11.7
ゲートが遅く後方から。
出てからは普通ですぐに馬群に取りついてレースを進める。
やや押したこともあって道中はちょっと行きたがるような格好。
そこで無理に抑え込まず、ジワっと前との距離を詰めながら3.4コーナーを回る。
直線ではその勢いを駆って外に持ち出したかったが締められて出せず。
仕方なく内に進路を求めるが、そこも壁で抜け出せずもう一度外に切り替えてラスト1F。
前との差は3馬身ほどでかなり厳しそうだったが、凄まじい切れ味で差し切ってみせた。
壁が無くなってからの切れ味が素晴らしい。
ラップ的には前も止まっておらず、それを1Fで飲み込むのだからかなりのハイパフォーマンスと言って良い。
唯一ラスト3Fを加速ラップで締めており、今後に大きく期待したい。
ただし、血統的に稍重馬場での切れ味勝負がベストマッチだった可能性もあるのでその辺りに注目して見守りたい。
東京1R
2歳未勝利《芝1400m》
【勝ち馬】プルスウルトラ
父 ディスクリートキャット
母 ローブドヴルール(サウスヴィグラス)
【評価】★★【★2】
【血統】
父ディスクリートキャットは日本では馴染みのない名前。
アメリカ産馬で、現役時代は無敗の6連勝でGIを制した馬。
その後は精彩を欠いたが、引退後は種牡馬入りし、米のGI馬を複数頭輩出している。
父系はストームキャットで、母系もアメリカンブラッドが脈々と流れている生粋のヤンキーホース。
産駒も少ないながら輸入されており、エアハリファが根岸Sを制する活躍、現役では2勝クラスのオーロリンチェがいる。
基本的にはダートが主戦場で、本馬以前の芝コースでの実績はキズマが1つ勝ったのみ。
母は中央競馬で67戦した鉄の女。
最終的に準OPまで出世している。
その父サウスヴィグラスの産駒らしく、ダートの短距離を主戦場に長く活躍した。
本馬が初仔となるが、いきなり新馬勝ちと幸先の良いスタートを収めた。
この父母を見ると、今後のプルスウルトラの未来はダートにある気がしてならない。
【パドック】
脚が長くスラッとした馬体が印象的。
歩様に柔らか味があり、芝で卸したのも納得できるが、やはり関節は硬くいずれはダートで走る事になるだろう。
【レース内容】
12.5 – 11.4 – 11.9 – 12.1 – 11.5 – 11.6 – 12.2
好スタートを切り馬なりで先行。
ハナに立つ勢いだったが内の馬も譲らず、並走状態のままコーナーへ。
直線では一旦外から先頭を譲るシーンもあったが、ラスト1Fで振り切って初勝利。
内容・ラップ構成ともに平凡だが、走るフォームは悪くない。
阪神5R
2歳新馬《芝1600m》
【勝ち馬】シュヴァリエローズ
父 ディープインパクト
母 ヴィアンローズ(Sevres Rose)
【評価】★★★★【★4】
ライオンの高額募集馬 vs キャロットの高額募集馬の注目の一戦。
軍配はキャロットに上がった。
【血統】
父はスーパーサイアーディープインパクト。
実績については説明不要だと思うので産駒の傾向を少し。
ダートより芝・・・というよりも芝オンリーといって良いくらいの産駒実績。
それは周知の事実なのだが、特筆すべきはその芝への適応力の高さ。
芝コースであれば良馬場~不良馬場まで勝率連対率複勝率全てがほぼ均一。
距離も長距離こそやや勝率が落ちるものの、カテゴリー別で特別に率が上がったり下がったりすることがなく、競馬場別で見ても函館競馬場の勝率が10%を切っているもののその他は全て10%超え。
複勝率にいたっては全競馬場の芝コースで30%を超えるという驚異的な数値を残している。
この芝コースへの異常なまでの適応力の高さが、そのスーパーサイアーとしての地位を固めたと言っても過言ではない。
母ヴィアンローズはフランスのノネット賞の勝ち馬。
その父セーヴルローズはカーリアンの血を引く種牡馬で、どうやら現役時代は不出走のまま種牡馬入りしたようだ。
その母インディアンローズがヴェルメイユ賞等を制した名牝で、血統の良さを買われたのだろう。
ヴィアンローズ以外はこれといって活躍馬を出せなかったようなので、繁殖としては失敗に終わっていると言えそう。
本馬はヴィアンローズの11番目の産駒に当たる。
兄姉にはプリンシパルSを勝ったアジュールローズがいるものの、他に活躍馬はいない。
キャロットクラブ御用達の母馬だが、そろそろ大当たりを出したいところ。
【パドック】
バランスの良い、非常にディープインパクトらしいディープインパクト産駒。
上品な馬体で、歩様も滑らか。
時折ミストに驚いたりもしていたが、比較的落ち着いた周回だった。
ただし、大物感はほとんどなく「普通のディープインパクト産駒」といった感じ。
【レース内容】
12.7 – 11.5 – 12.5 – 12.8 – 12.1 – 11.8 – 10.7 – 11.8
好スタートを切って先行態勢。
やや促しながら追いかけたのでちょっと引っかかってしまったが、何とか宥めて3角へ。
ペースが上がった際に少し前に置かれ気味になるも追っ付けられるとしっかりと取りついて直線へ。
直線ではすぐ後ろから勢いを付けて上がってきたブレイブライオンに一旦交わされたものの鞍上の叱咤激励に応えて差し返しV。
癖のないディープインパクト産駒。
走りもリズミカルで非常に好感が持てる。
まだまだ体の使い方がなっていない部分も多く、ノビシロは残している。
反面、ガサがないのが気になる材料で、馬体にボリュームが出てくれば楽しみな馬になれそう。
現状は水準クラスよりは上だが、重賞クラスとは言えない、そんな感じ。
次走が楽しみな馬ではある。
函館5R
2歳新馬《芝1200m》
【勝ち馬】ブルースピリット
父 Invincible Spirits
母 Jasmine Blue(Galileo)
【評価】【★】
アイルランド産の外国産馬が新馬勝ち
【血統】
父インヴィンシブルスピリットはイギリスの二流スプリンター。
競走生活の晩年にドイツのスプリントGIで大穴をあけたが、本国ではG3を2つ勝った程度の馬だった。
ところが、血統を買われて種牡馬入りすると活躍馬を多数輩出し、世界的に人気の種牡馬となった。
ただ、日本では奮わず、それなりの数の産駒が輸入されているが重賞は未勝利。
豪州に移籍したことで話題になったイッテツが代表産駒と言える程度。
母ジャスミンブルーはドイツとフランスで競走生活を送るも凡庸な成績に終わった馬。
本馬が初仔で、まだまだこれからの繁殖牝馬。
血統的にはやや重く、現代日本の軽い馬場への適性は疑問視してしまう。
【パドック】
腹袋がしっかりし、ガッシリした骨格のいかにも健康そうな馬。
脚の運びや踏み込みもグッグッと力強く、体調の良さが伝わってくる周回。
やや太いかな?という印象だったが十分に勝負になりそうな感じだった。
また、父の産駒らしく皮膚が薄く美しい体だった。
【レース内容】
12.0 – 10.4 – 11.1 – 11.9 – 11.9 – 12.2
五分のスタートからやや追っ付けながらの追走。
先行集団に速さでは劣ったが、中団に付けてスピードに乗ると難なく追走。
3角から徐々に外に進路を変更し進出。
4角大外から楽々突き抜けて新馬勝ち。
同じ父のタニノミッションにソックリな走法。
抜け出す時のリズミカルなフットワークは非常に印象が良いが、それすらもタニノミッションと同じ。
この父に成功サンプルがこれまで出現していないことを考えると、ここがピークということも十分にあり得る。
走破時計、ラップ構成、パフォーマンス。
どれを取っても優秀だが、血統面を憂慮して評価は水準クラスまで。
まともなら函館2歳Sでも面白いと思うが・・・



