更新が滞っていました2歳馬記事ですが、まとめてアップさせてもらいます。
仕事が忙しく、なかなかレースを分析する時間が取れないのですが、自分自身のためになる記事でもあるので頑張ってやっていきたいです。
東京5R
2歳新馬《芝1400m》
【勝ち馬】クールキャット
父 スクリーンヒーロー
母 メジロトンキニーズ(ダンスインザダーク)
【評価】★★★★★【★5】
重賞3勝馬トリオンフの妹が新馬戦を快勝。
【血統】
上記のように兄は脚元の不安と戦いながら重賞を3勝を挙げたトリオンフ。
他に活躍馬はいないと思われがちだが、実は長女以外全てが中央競馬で勝ち星を挙げている有能ラインナップ。
チチカステナンゴやタニノギムレットといった期待値の低い種でも勝ち上がっており、その中に一発長打のトリオンフが混じっていただけ。
母メジロトンキニーズはかなりのアベレージヒッターと言えよう。
曾祖母メジロツシマの妹にはメジロオーロラ(メジロデュレン・マックイーンの母)がいるメジロの至宝とも言える血統で、奥の深さや潜在的な底力を秘めていてもおかしくない。
父スクリーンヒーローは繁殖牝馬のレベルとは裏腹にモーリスやゴールドアクターといった大物を送り出したお馴染みのサイアー。
産駒は断続的な活躍を見せており、面白いことに2世代連続で重賞勝ち馬を送り出すとその翌年はお休み、1年明けてまた2世代連続で重賞勝ち馬が生まれる・・・というサイクル。
2016年産馬が現在のところクリノガウディーの降着という不運もあり重賞未勝利、2017年産馬はウインマリリンとマイネルグリットが重賞を制しており、このサイクルが続くのならば今年の世代は重賞を制覇する、ということになる。
クールキャットがその筆頭に立てるのかどうか、パドックやレース内容を含めて見てみよう。
【パドック】
黒光りする雄大な馬体で登場。
仕上がりにぬかりはなく、ロベルト系らしい筋肉が目立つパワフルなシルエット。
やや硬く映るが全体として歩様も問題なく、初戦から力を出せる状態だった。
距離はむしろ1400よりも長い方が良いように映った。
【レース内容】
12.8 – 11.1 – 12.0 – 12.2 – 11.6 – 11.6 – 12.1
スタートはそれほど速くなく、やや促されながら先行集団の後ろに付ける。
道中はずっと馬群のど真ん中にいたが、ピッタリと折り合って無駄な仕草を一切しない大人びた競馬。
3角すぎから徐々にアクセルを踏むが、直線に入っても慌てず焦らずの競馬。
鞍上の指示に従って内にコースを取ると、あっと言う間に先行馬に並びかけてからGoサイン。
瞬く間に突き抜けるとそのまま後続を千切り捨てた。
内容としては非常に素晴らしく、ここまでの新馬戦では一番。
走りにしなやかさが足りていないが、まだまだ体の使い方が幼く、追い出されてからややバランスを崩すようなシーンがあったことからもいずれ改善させるだろう。
距離延長は問題なさそう。
重賞クラスかどうかは次走を見てみないと分からないが、秘めたる素質はなかなかのモノがあると思う。
阪神5R
2歳新馬《ダ1200m》
【勝ち馬】レディステディゴー
父 ダイワメジャー
母 レディトゥプリーズ(More Than Ready)
【評価】★★【★2】
今世代最初のダートの新馬戦。
制したのはL’Arc~en~Cielが馬主・・・ではなくて社台RHのレディステディゴーだった。
【血統】
母レディトゥプリーズは米の重賞勝ち馬。
日本に輸入されて繁殖生活を送り、代表産駒にキーンランドCを制したナックビーナスがいる。
父はお馴染みダイワメジャー。
産駒は総じて筋肉質で、ともすればダート馬と思われがちだが思ったよりもダートでの成績は上がらない。
JBCスプリントを制したブルドッグボスがいるにはいるが、産駒成績も芝の方が優勢。
カレンブラックヒルやコパノリチャードといった芝GI馬たちがダートに矛先を変えて大惨敗している。
とはいえ、全くダメなわけではなくそれなりにこなせる馬が多いのも特徴。
芝で足りない馬でもダートで格好を付けて長く活躍する・・・なんてことも多い。
【パドック】
私の出資馬であり、同じダイワメジャー産駒のグレートバニヤンに似たシルエットの馬。
仕上がりとしては十分だが、筋肉はまだ付ききっておらずノビシロを感じられた。
歩様が非常にスムーズでいつかどこかで芝を試してくるだろう。
試したくなる気持ちは分かるが、おそらく結果は出ないと思われる。
【レース内容】
12.7 – 10.9 – 11.8 – 12.0 – 12.4 – 13.4
五分のスタートから押して先行策。
4頭雁行状態の大外という不利な競馬を強いられたが、一旦下げて内に入れるということはせず馬の気分を優先にレースを運ぶ。
コーナーでもひたすら大外だが、手応えは段違い。
直線入り口でも余裕たっぷりで、ラスト250mで満を持してGoサイン。
ところが、思ったほどビュッと加速せず、ラスト75mで内の2頭をようやく競り落としての新馬勝ち。
・スタートが上手く先行策をとれる
・手応え抜群にコーナーを回ってくる
・追い出すと案外
どれを取ってもグレートバニヤンそのもので、やはり似ているのだろう。
直線で仕掛けられてから真直ぐ前ではなく斜め上に推進力が逃げている辺りもそっくりで、ここまで似ていると叩いて良くなっていく馬なのだろうなと半ば確信してしまう。
現状でクラシックや重賞どうこうではないが、長い目で見て楽しめそうな馬。
函館5R
2歳新馬《芝1200m》
【勝ち馬】モンファボリ
父 Frankel
母 フォーエヴァーダーリング(Congrats)
【評価】★★★★【★4】
Frankel産駒がまたも衝撃的な走りで逃げ切り勝ち。
【血統】
父はFrankel。
東京のノックオンウッドに次いで産駒が新馬勝ち。
昨年は4頭登録で2頭勝ち上がり、そして今年はこの時点で産駒2戦2勝とやはり高いポテンシャルを持った種牡馬ということが分かる。
この世代はあと10頭以上産駒が控えており、フランケル旋風が巻き起こるかもしれない。
母フォーエヴァーダーリングはアメリカのG2勝ち馬。
曾祖母ローミンレイチェルはゼンノロブロイの母として日本競馬でもお馴染み。
一族には米GIアルシバイアディスSを制したHeavenly Loveや重賞で好走したDarling My Darling、日本ではダガノエリザベート、キャットコイン、ワンブレスアウェイ、ロックディスタウンの4姉妹等牝馬の活躍馬が多い。
アメリカらしい素軽さと持続力に富んだ血統背景で、そこにフランケルの潜在能力が注入された形か。
【パドック】
小柄ながらも身のこなしが良く、仕上がりも十分。
尻尾を終始バタバタと振っていたのが印象的で、やや神経質な面があるのかなと思わせられた。
見栄えがするかと聞かれると返答に困るが、この新馬戦に限れば絶対に買うと言える、そんな感じの馬だった。
【レース内容】
12.1 – 10.6 – 11.0 – 11.3 – 11.3 – 12.4
好スタートから馬の行く気に任せてハナへ。
引きつけて逃げているはずが、後続はそのスピードについて行くのがやっと・・・ん?マルゼンスキーかな?
4角からはぐんぐん差が広がっていき、最後までノーステッキで大楽勝。
計測した時計は1分8秒7。
1990年まで遡っても2歳の函館戦で1分8秒台を出した馬はおらず、おそらく史上初の快レコード。
ここ数年、新馬で1分10秒を切るレースがそれなりに増えてきたが、それでも驚異的な時計である。
リワードニンファやサーガノヴェルを彷彿とさせる出来事だった。
勝ち時計は同日古馬の500万競走と同じで、これも滅多にないこと。
仕掛けていればもっとすごい時計が出ていたかもしれない。
ただし、馬格のなさとやや神経質そうな気性を考えると、函館2歳S当確とは言いにくい。
馬群に入れて揉まれる競馬で、それを跳ね返すことが出来れば来春へ向けて楽しみが広がってくる。
最後に、このレースは2着以下の速力に非常に疑問がある。
たしかにモンファボリのパフォーマンスは驚異的で評価に値するが、レースレベルとしては中の下くらいか。
次走以降、早い時期の勝ち上がりはあったとしても重賞クラスまで上がれるかどうかは微妙。



