こんばんは、明瑞新山です。
先週のジャパンカップはアーモンドアイが驚異的なパフォーマンスで圧勝しました。
勝ち時計は2.20.6という目を疑うような時計。
ここでやはり目にするのが高速決着での故障への影響を疑う声。
そこで、以前書いた高速馬場が身体に与える影響についての記事の続きを書きたいと思います。
前回の記事では、高速馬場を水泳のレーザーレーサーという水着に例えました。
レーザーレーサーを着用した水泳選手が世界新や日本新を連発、あまりの高性能に着用禁止となったこと、その水着を着た選手は己の限界を超えたパフォーマンスを見せていた可能性があるが重大な故障をしたという話はないこと等を書きましたね。
あとは芝が冬眠するとか、競走馬のためのエクイターフという芝が開発されたということにも触れました。
今回はこのエクイターフを含む芝についてのお話です。
噂のエクイターフは、京都競馬場と新潟競馬場、そして北海道2場を除くすべてのJRA競馬場に導入されている芝。
この芝はJRAが主導して開発したもので、従来の芝生よりも地下部分の密度は2倍以上というスグレモノ。
地中の密度が高いと言う事はそれだけエグれにくいということで、馬場保全や競走中の安全を守るという点で大きく役立っていると言えます。
昔は馬場のエグれた部分に脚を取られて故障→予後不良といったケースを聞くことがあったのですが、近年そういった話をあまり聞かないのはこういったJRAの努力の賜物なのでしょうね。
この地中の密度の濃さは、その高いクッション性が陸上のトラックのような効果を生み出してスピードを上げてくれているのです。
これがエクイターフが高速馬場の元凶と言われる所以ですね。
ところが、開発されてまだまだ日が浅いエクイターフくん。
導入されていると言えどもまだまだ普及しきっておらず、競馬場の広い芝コースの中でも限られた部分でしか使われていません。
なので、高速馬場の原因全てをこいつに求めるのは可哀想。
突然ですが、日本で時計が速い競馬場トップ3と言えば?
という質問をすれば、ほとんどの人が新潟競馬場と京都競馬場を答えに含むでしょう。
実は、どちらもエクイターフが導入されていない競馬場。
特に新潟競馬場は野芝100%の競馬場で、時計の速さは長い直線や平坦なコースだけでなく、敷いているエクイターフ以外の芝に一因があるんですね。
その芝の名は野芝。
寒さに弱く冬眠する可愛いヤツなんですが、第1回ジャパンカップで来日した外国人が「日本の競馬はシーズンオフの芝で開催するのか」とボヤいたことから冬場には上から洋芝の種を蒔かれて無理やり緑を保たれることとなります。
これがオーバーシードという方法。
前回の記事でも触れたアレですね。
安全の確保もそうですが、緑に見えるようにというのが理由なのが滑稽。
F1開催時に芝生がないから緑のスプレーで塗装した韓国GPを思い出しますね。
まぁそんな話は置いておいて、この野芝くんは洋芝と違って縦ではなく横に伸びるので踏圧に強く、踏まれるとどんどん固くなる特徴があります。
そう、俗に言うコンクリートのように固くなる芝というのは野芝くんだったんです。
これをJRAはキッチリ把握していて、そのためにエアレーション等で馬場のクッション性を高める作業をしています。
このエアレーションというのは、固くなった土壌に穴を開けて空気を送り込んだり、古い根を切って根の伸長を促したりすることで芝生の若返りを図る方法。
芝生を元気に保つことが主な目的ですが、これをすることで踏み固められた土壌がフワフワになりクッション性を増すという大きな利点があります。
これらの作業により、馬場のクッション性は従来よりも20%~26%高まっているという研究結果が報告されており、ターフを走る馬たちへの負担は軽減されているというのが科学的見解のようです。
一定以上のクッション性が保たれているということは、疲労への影響はともかく骨への影響はないと考えて良いと思います。
時計が速くなる相対的に計時される上がりも速くなるのでインを通った先行馬が残りやすくなるのは残念ですけどね・・・
とにもかくにも、むやみやたらにレコードを連発させようとした馬場造りをJRAがしているわけではないというのを言いたかっただけです。
馬場がスピード仕様になっただけでなく、馬が強くなってのレコード更新の可能性もあるじゃないですか。
陸上や水泳では0.1秒でも縮めて新記録を出せば喜ぶのに、それが競馬となればお金がかかっているファン心理も相まって素直に喜べないのはやるせないところですね。
この記事を読んでいるそこのあなた。
馬の身体を心配して高速馬場を叩いているのか、自身の馬券が外れた言い訳を高速馬場に求めているのか、分からなくなっていませんか・・・?



