どうもおはようございます
うまうまジェントル氏です
ついにやってまいりました、日本ダービー
毎度毎度1年経つのは早いなぁなどと思いながら、馬柱を眺める
わけですが、この時期はある意味競馬ファンにとっての1年の総決算
年末の忘年会よろしく、仲間内のPOGなどで集まってドラフトついで
に酒の席を設けるなどといった催しもあるでしょうし、せっかくの
ダービーだからと身近な競馬仲間同士で競馬場や場外馬券場に行って
旧交を温めあうといったことをなさっているファンもいるんでは
ないでしょうか?
昨年はマカヒキ、サトノダイヤモンド、リオンディーズ、ディーマジ
ェスティが4強と称され、屈指の世代レベルとして持て囃されていま
したが、1年経ってみれば、リオンディーズはボロが出る前に引退、
ディーマジェスティとマカヒキは全く結果が出せない状態
唯一古馬相手に奮闘してきたサトノダイヤモンドも天皇賞でキタサン
ブラックに完膚なきまでに叩き潰されるなどとあまり良いことがあり
ません
世代レベルなどと言うのは、どれだけ3歳時に良い時計や大きな着差に
迫ったところで結局は走ってみないと分からないということを改めて
教えられたような気がします
さて、今年のダービーは昨年とは打って変わっての混戦模様
王道である皐月賞組を差し置いて1番人気は青葉賞勝ちのアドミラブ
ルが濃厚でしたが、なんと入った枠は大外18番
一応の序列で買い目の目星をつけていた人も予想を再考させられたの
ではないでしょうか?
馬券としても難解を極めそうですが、レースとしても面白い競馬を期
待したいものです
現時点で1番人気のアドミラブルは、新馬戦はムーヴザワールドと
エアウィンザーがぶつかり合う秋の阪神1800mという超王道の
条件でデビューするものの、着順はブービーと大惨敗
そこから巻き返しての3連勝となりますが、その3連勝は全て圧勝
スローペースにも速い決着にも対応できている以上、これだけの
評価も頷けますね
しかしながら、そんな馬が新馬戦でなぜここまで大惨敗したのか
その原因は皆さんもご存知の通り喉鳴り
喘鳴症とも言われるその病は、呼吸器官の筋肉が異常を発生し
呼吸をしても十分な酸素を得ることが出来なくなる病
中には走りながら呼吸が出来ないシルキーサリヴァンと言う馬も
いて、この馬は道中キャンターで走って最後に無呼吸で後方一気
の捲くりで50馬身以上の差を詰めるような変態ホースだったわけで
すが、そんなことできる馬はそうそういるわけではありません
この喉鳴りがどれだけサラブレッドの競走能力に影響を及ぼす
かといいますと、一説ではシンザン以上とも言われた最強の2冠馬
タニノムーティエの最後を見てもらえれば分かるはずです
タニノムーティエは、父ムーティエ、母タニノチエリという血統
父ムーティエは大レースの勝ち鞍こそないものの2歳で1勝、3歳で
2勝をあげた馬
兄にキングジョージを制したモンタヴァルがおり種牡馬入りして
アイルランドの1000ギニーを勝ったウェンデュイネを輩出したもの
の、モンタヴァルが日本に輸出されてナスノコトブキやニホンピロ
ーエースを出したことに追従した形で本邦輸入
ナスノコトブキの最期のように、気性が悪いことで有名だったモン
タヴァルの仔でしたが、更に父がノールスマンからカブラヤオーな
どでも有名なシカンブルに変わったことで更に激しい気性の仔が
多くなったとも言われています
母のタニノチエリは父系に英国2冠馬ブルーピーターを持っており、
イタリアのセントレジャーを制したティエボロの産駒
未出走ながら、タニノムーティエだけでなく、天皇賞と有馬記念を
制したタニノチカラも輩出した名牝であります
タニノムーティエもタニノチカラもオールド競馬ファンの間では
最強馬論争の一角となる超1流の名馬であることは素晴らしい限り
近年で例えると、ビワハヤヒデとナリタブライアンを輩出した
パシフィカスのようなものですかね
タニノギムレットやウオッカで有名な谷水雄三オーナーの父である
谷水信夫氏の元、今は亡きカントリー牧場でハードトレーニングに
耐え抜いたタニノムーティエは、関西の島崎宏調教師の元デビュー
ちなみに、この年のカントリー牧場の馬はハードトレーニングで
次々と馬が潰れていく中、20頭中5頭がデビューにこぎつけ、その内
ムーティエを含む3頭が重賞を制しています
タニノムーティエがデビューしたのは7月の函館競馬場
鞍上には7年目にして重賞を勝った事すらない安田伊佐夫を配しての
デビューとなりました
評判馬であったスイノオーザに1番人気を譲るものの、6馬身差の
圧勝を決めてその能力を知らしめます
ちなみにスイノオーザはタニノムーティエに負けた次走では
5馬身差の圧勝を決めるものの、次のすずらん賞ではまたも
タニノムーティエの前に5馬身差の完敗
後に重賞で5連続連対する馬をこのような扱いで叩き潰した
タニノムーティエ
上々のデビュー2連戦から初重賞挑戦となる函館3歳Sでは大きな出遅
れをかまし、同じ谷水オーナーの馬であるタニノソブリンの2着に
敗れましたが、そこは同馬主の馬に花を持たせた形でご愛嬌
次走のはまなす賞ではこれまた谷水オーナーの馬であるタニノラム
サスに大差勝ちを収めました
北海道シーズンが終わり、京都に帰ってきたタニノムーティエは
鞍上にタニノハローモアでダービーを制した宮本悳を迎えて
デイリー杯に出走
函館3歳ステークスで後塵を拝したタニノソブリンにはきちんと
リベンジをする形で初重賞制覇となりました
しかし、次の紅葉賞では道中不利を受けて4着敗退
谷水オーナーの怒りを買った宮本はこれにて降板、北海道で
主戦を務めた無名騎手安田に再度この有力馬のお鉢が回ってくる
こととなります
再度安田に乗り代わったタニノムーティエは、続くオープンで
後のオークス馬であるジュピックに3歳レコードおまけ付きで勝利
そのまま京都3歳S、暮れの関西3歳チャンプを決める阪神3歳Sと
順当に制して3歳のシーズンを終えることとなりました
この阪神3歳Sで鞍上の安田は初重賞制覇
このような騎手でも厩舎や馬とのめぐり合いでダービーを勝てるのが
当時の日本の競馬だったのは、今のエージェント制度が主体の日本の
競馬とは実に対極的で、良いか悪いかは別として非常に面白いですよ
ね
3歳時に9戦をこなし、ここまで走り詰めだったタニノムーティエは
2ヶ月の休養を与えられた後、きさらぎ賞、弥生賞と順当に勝ち上が
り
西のクラシック候補として、皐月賞の前哨戦となるスプリングSに
出走します
ここでは、関東でデビューから6連勝をあげていたアローエクスプ
レスが出走
目下クラシックの1番手として、タニノムーティエの前に立ちはだ
かることとなります
タニノムーティエは、阪神3歳ステークスを制していながら、
最優秀3歳牡馬の勲章を得ることは敵いませんでした
それもこれも、無敗で朝日杯を制したアローエクスプレスがいたから
ここでその優劣をつけるべく、両雄が合間見えることとなりました
そのスプリングSでは豊かな先行力を活かして、直線で一旦は後続に
8馬身の差を付けたアローエクスプレス
中山の荒れた馬場、短い直線でこれはもうセーフティーリードでしょ
う
しかも突き放したのはここまで無敗の3歳チャンプ、アローエクス
プレス
こんなの常識的に考えれば完敗と言わんばかりのレースで
タニノムーティエは末脚一閃
当時は3F36秒台が当たり前で、35秒を出せば切れたと言われる時代
で
なんと3歳の馬が中山で34秒台の脚を出してアローエクスプレスを
捕らえてしまいました
タニノムーティエとアローエクスプレスの後ろとは6馬身の着差
しかも3着の馬は後の天皇賞馬で凱旋門賞にも挑戦したメジロムサシ
これはもう皐月賞は間違いないだろう
結局、皐月賞は下馬評通り、タニノムーティエが快勝
1度は交わしきったのものの、再度末を伸ばして頭差の2着に
差し迫ったアローエクスプレスではありましたが、その力差
は明らかにもみえたはずです
しかし、そこでアローエクスプレスの陣営がダービーでは逆転が
見えたと豪語、皐月賞で当時若手だった柴田政人から乗り代わった
加賀武見も、次は大丈夫と言って迎えたNHK杯では
宣言どおりアローエクスプレスがタニノムーティエを逆転
当時はビデオすらなく、調教やレースの映像を見ることも一苦労な
時代に、こういった陣営のコメントは人気に直結すると言う典型
とでも言いましょうか
なんと、ダービーではアローエクスプレスがタニノムーティエの倍
近い支持率を受けての1番人気となってしまいます
血統的にも父系が短距離向けのアローエクスプレス
ダービーを見越して馬を仕上げたタニノムーティエ陣営に比べ、
NHK杯でタニノムーティエを倒すことに尽力しつくしたアロー
エクスプレス陣営
恐らく、今の競馬ファンなら間違ってもアローエクスプレスなどが
1番人気になることはないでしょう
結果は、アローエクスプレスは掲示板を確保するのが精一杯の5着
順当に馬を仕上げてきたタニノムーティエが2冠を制すると言う形で
春のクラシックを終えることとなりました
秋はシンザン以来3頭目となる3冠馬となるべく休養に入った
タニノムーティエ
谷水オーナーも、この馬の3冠制覇は規定路線でそのまま有馬
を制した後は海外遠征し凱旋門賞に挑戦するなどと豪語して
秋を迎えることとなったタニノムーティエ
しかし、そこに待っていたのは希望ではなく絶望
北海道にも厩舎からも姿を消したタニノムーティエは、オーナーの
エゴのもと、滋賀に作った設立間もない谷水氏自作の放牧場に放置
され、そのまま喉鳴りを発症します
その喉鳴りは人災とも言われており、きちんと整っていないずさんな
管理をしていた自作の放牧場で石灰を吸い込んで患ったと言われて
います
帰ってきたタニノムーティエは、喉鳴りの事実を隠されたまま
朝日チャレンジCに出走
調教ですらまともに走れなかったタニノムーティエですが、
当時は調教の映像が一般のファンに出回るわけでもなく、
案の定3冠を目指すための秋の初戦と堂々と1番人気に推されて
勝ち馬とは4.7秒差の最下位という大惨敗の結果に見舞われてしま
います
そこで観念した谷水氏は、渋々メディアにタニノムーティエの喉鳴
りを発表
引退を申告した島崎調教師の意見も却下し、オーナーのエゴで無理
やり出走した京都杯でも惨敗し、最後は菊花賞で華々しく散った
タニノムーティエ
結局、調教や放牧などあらゆるところで何一つ意見を聞き入れて
貰えなかった島崎調教師
結果が出ているゆえに、自分が全能だと勘違いした無能オーナーの
エゴで、3冠確定とまで言われたタニノムーティエはその競走生活を
寂しく終えることとなります
若くして会社を興して成功し、自分が有能と勘違いして大局が
見えなくなった今のIT社長などにも見え隠れする部分ではありますね
ちなみに、そのワンマンオーナーである谷水信夫氏は、その後すぐに
死亡し、現在の谷水雄三オーナーに全権を渡しました
もしも谷水信夫氏が後数年早く逝っていれば、タニノムーティエは
3冠馬になれたのか、それともその才を世に出すことなく埋もれて
いたのかは分かりませんが、シンザンを超えたと言われるその馬の
先を見てみたかったのは私だけではないでしょう
昨日、ウオッカの第4仔であるフランケル産駒の名前が
タニノフランケル
と決定したそうです
一部では、ダサいとか芸が無いなどと辛らつなコメントを受けている
この名前ですが、
冠名+父の名前というのは、この偉大なダービー馬と全く同じ
構成なんですよね
カントリー牧場を畳んで早数年、最後の最後でタニノムーティエを
髣髴とさせる馬が登場することを祈って止みません
それでは今週もよろしくどうぞ~
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5月28日(日)
東京11R 東京優駿
迷ったところで本命はアドミラブル
青葉賞ローテという、ここまで本当に強い馬と戦ったことのない
ローテが一番不安視されてきたが、今年の3歳牡馬に強いと確信
をもって言い切れる馬が皐月賞にいただろうか?
現時点での持ち時計、レースへの順応性は間違いなくトップ
大外という不安要素も、そこは他の馬の補填で何とかすべきであろう
抑えたいのは、レイデオロとアルアイン
前者は、前走が2歳以来の休み明け、しかも藤沢厩舎ということを
忘れてはいないだろうか?
確かに前走は伸びる内馬場を勝ち負けの度外視された位置から
末を伸ばしてきただけである
しかし、個人的にはそれすらもダービーまでの叩き台の一環と
みる
馬場が良すぎて前が止まらない中、最後方からここまで差を詰めれた
というのもポテンシャルの一部
言うなれば、能力の片鱗を確認するだけの公開調教みたいなもの
だろう
アルアインに関しては、現状今の東京の馬場に一番合致している
馬ではないか
位置取り次第だが、前回のように直線を向いて前の馬を捕らえにいく
競馬が出来れば、後方から競馬をするであろうレイデオロやスワーヴ
リチャードに対しては大きなアドバンテージを得ることが出来る
少なくとも、馬体の成長を促したにも拘らず後方からの競馬を
宣言しているサトノアーサーなどよりはきちんとした競馬が
できるはず
最後に、前走オール11秒ラップで1800mまでを駆け抜けたダイワキャ
グニーの存在が忘れられない
枠には恵まれなかったので微妙ではあるが、少しだけ検討したい
アドミラブル 4,000円
レイデオロ 3,000円
アルアイン 2,000円
ダイワキャグニー 1,000円



