2月25日(土) うまうまジェントル氏予想【アーリントンC】

どうもおはようございます

 

 

うまうまジェントル氏です

 
先週のつばき賞をファンディーナが圧勝
上がりは33.0という今の京都では破格の時計

 
1000m通過を1分4秒台で後続を引き離して逃げたタガノアスワド
をラスト100mで射程圏に納め悠々差しきるというとんでもない
内容で勝利を納めたファンディーナですが

 

短距離、古馬戦合わせたその日のレースでの最速の上がりを叩
き出し、一躍スター候補に上り詰めました

 

次走はフラワーCを予定しており、あくまで桜花賞を目指すファ
ンディーナ

 

フランケルフィーバーに湧いた2歳のトップ連中にアドマイヤミ
ヤビが加わり、ただでさえ分厚い今年の牝馬戦力図を更に一新
するような馬の登場で、我々競馬ファンの心拍数は最高潮

 

これは夢なのか現実なのか、桜舞い散る仁川のターフに、過熱し
た牝馬戦線は、遂に危険な領域に突入する

 

ここまで牝馬の層が厚くなると、中には皐月賞を使おうな
どという牝馬も出てくるのではないでしょうか?

 

しかしながら今から68年前、1949年に横浜農林水産省4歳呼馬が皐月
賞と改名されて以降は一度も牝馬が勝ったことがありません

 

 

横浜競馬場や東京競馬場で開催されていたそれ以前は、かの顕彰馬ト
キツカゼを代表に牝馬の台頭も目立つのですが、今の条件になって以
降牝馬の勝ち馬は皆無

 

近年では牝馬の出走自体が極めて少ない以上、3歳牝馬で中山2000mと
いう条件をクリアし皐月賞を勝つ馬などと言うのは現れる訳がないと
思われているのではないでしょうか

 

ただ、皐月賞が中山の2000mで開催されるようになって1番人気に推さ
れた牝馬は実は過去に2頭いたりします

 
まず1頭目は、言わずと知れた最強牝馬世代と目される1952年の皐月賞

 
1番人気はもちろんタカハタ…ではなくミツタロウ

 
ミツタロウは元々タカハタ、レダ、クインナルビー、スウヰイスーと並ぶ
史上最強世代とも言われる52年組牝馬5強と称された一角で

 
2歳暮れの朝日杯でタカハタの2着に破れますが、その後3月にオープンで
スウヰイスーやキヨストロングを負かし連勝、スプリングSでアサトモの2
着、とにかくレースに使いまくることが正義の時代に、朝日杯後皐月賞に
向けて1戦しかできなかったタカハタより順調さが評価された形でした

 

今でこそ上記の4頭に実績と知名度で大きく水を開けられたミツタロウです
が、当時はこの5頭の中でも最も期待されていた馬であったんですよね

 
牝馬なのにタロウなのか・・・というお約束の突っ込みが飛んできそうですが
クリヒデやヒデヒカリのように、女の子でヒデと付く馬もいますからね

 

『ほんとぉ~?』

 
そして、もう一頭

 
最強牝馬世代と言われた1952年の翌年にも一頭の牝馬が1番人気で皐月賞に果
敢と挑戦しました

 

 
それが今回のお話の主役である

 

 

チ エ リ オ

 

 
父はプリメロ、母はオーマツカゼ

 
ここまでの良血なら最早父も母も詳しい解説は必要ないかもしれませんね

 
過去の日本の種牡馬の中でも間違いなく5指に入るであろうプリメロ

 

プリメロは単なる産駒の競走成績だけではなく、子が種馬や繁殖として血
を残すことに特化しているという、外国産種牡馬全盛の時代に異色の活躍
をした言わずと知れたスーパーサイアー

 
トサミドリやハクリョウ、ミナミホマレのような実績馬だけでなく、シマタ
カやトビサクラのような血統が買われて種牡馬になったような馬からもクラ
シックホースを輩出しているのは恐ろしいの一言ですね

 
繁殖でも、ダービー2着となった牝馬シラオキは、その後フロリースカップ
系の繁栄に大きく貢献し、その血は今の日本競馬に生き続けています

 
母のオーマツカゼは希代の名牝トキツカゼと同期であったためどうしても存
在が希薄になりますが、皐月賞参戦のためトキツカゼがいなくなった桜花賞
を1番人気で臨んだ正真正銘の名馬

 

 

そこで2着に甘んじるも、勝ち馬のブラウニーには条件戦で先着しており決
して力負けではありません

 

 

しかも母母が日本競馬史に燦然と輝く説明不要の大名牝アストラルとくれば、
繁殖としての期待値はそれこそ振り切れていて、その期待に答えるべくして
オーマツカゼは、ケゴン、オーハヤブサという2頭のクラシックホースを輩
出しています

 

中でもオーハヤブサはその後も牝系を伸ばし続け、先週名前を挙げたエリザ
ベス女王杯の覇者ビクトリアクラウンや、ニッポーテイオーやタレンティド
ガールを輩出したチヨダマサコ、近年でもヴィクトリアマイルを制したホエ
ールキャプチャなど今なおその血が牝祖として残っています

 

チエリオは、文化人の馬主と懇意にしている田中和一郎厩舎に入厩
大映の社長、永田雅一がトキノミノルやオーテモンを、文豪と名高い菊池寛
がトキノチカラを預けたことで知られる名門でありますが、チエリオもご多
分に漏れず、三国志で有名な歴史小説家、吉川英治の所有する馬

 
超良血馬と言う触れ込みで2歳の8月に札幌でデビューすることとなったチエ
リオでしたが、デビュー戦で7着と惨敗した後はその期待とは裏腹にしばし
冴えない競走生活を送ることとなります

 
ようやく兆しが見えたのは、騎手を野平好男からダービージョッキーの阿部正
太郎に乗り替えた6戦目

 

中山の未勝利戦で扶桑牧場の期待馬であるフソウ(美人芦毛姉妹として有名なハ
クセツの父)の3着と初めて複勝圏内に好走したチエリオは、続くレースで後
のクモハタ記念勝ち馬で桜花賞、オークスともに2番人気に推されたイチジョ
ウの2着と大健闘

 

 

更に次のレースでは後の桜花賞馬カンセイの後塵を拝するものの、ようやく都
合9戦目である次のレースで勝ち上がることとなります
※野平好男は、その後チエリオの弟であるケゴンで全レース手綱を取って皐月
賞を制している

 

 

その後はクラスが上がり、煮えきらない競馬が3戦続いたが、中山4歳特別を
8番人気という低評価を覆して勝利した後は、当時4連勝中であった後の桜花
賞馬カンセイを相手にハナ差勝ち、更に4戦前に完敗したカネハルを4馬身突
き放す圧勝劇で3連勝

 

 

勢いの波に乗るチエリオは、次走重賞初挑戦でスプリングSを快勝…そのメンバ
ーの中にはデビュー当時、札幌で惨敗を期したシスコスターやミナトクローバーな
ども含まれており、チエリオ自身の馬そのものが変わったことが伺えます…これぞ
血のなせる業といったところでしょうか

 
この頃からチエリオは桜花賞ではなく皐月賞を目指すと陣営が明言

 

 
元々輸送に難のある時代で、関東牝馬の選択肢としては昨年のミツタロウ、タカハ
タ同様皐月賞参戦自体は珍しいことでもない時代

 
そこから2走後の中山4歳Sでは、1番人気に推された5連勝中のフソウを相手に
完勝し、未勝利時代に負けた鬱憤を晴らす形で重賞2勝目を挙げ、最高の形で皐月
賞に向かうこととなったチエリオ

 
前走大差勝ちを納めて参戦してきた後の世代最強馬ハクリョウや、前走中山4歳S
で負かしたフソウを従えるオッズで堂々と1番人気での皐月賞参戦となりました

 
これが2017年現在、正真正銘皐月賞最後の牝馬の1番人気

 

 

結果は6着と振るわなかったですが、その後チエリオ陣営は皐月賞の敗戦は何か
の間違いと信じてオークスとダービーを連闘させます

 

 

タイトルこそ手に入りませんでしたがオークス2着、ダービー4着と健闘し、世
代最強牝馬としての意地はみせた形ですね

 
なお、この年のダービーは日本競馬史上最多頭数となる33頭が出走

 
勝ち馬のボストニアンには水を開けられるものの、2着馬ダイサンホウシユウ、そ
して3着馬のハクリョウには時計差なしと肉薄しており、この馬の底力が伺える結
果となりました

 

 

その後世代牝馬の代表としてチエリオは、幾度もなく先輩牝馬であるタカハタと勝
負を繰り広げることになります

 
初顔合わせとなった東京の1800mではチエリオが勝利し、タカハタは3着
とは言え56kgのチエリオに対してタカハタが67kgという牝馬としては考えられない
ハンデを背負わされての結果であり、今の時代の人間からしてみると完全に参考外

 
その後クイーンSを勝ち、更に重賞の手土産を増やしたチエリオは、11月の中山2000m
で再度タカハタに挑むこととなります

 
次は58kgを背負わされたチエリオに64kgでの出走となったタカハタ
前走11kg差あった斤量差は、今回は6kg
古馬と3歳馬の間に多少色をつけたような斤量になると、チエリオはタカハタには敵
いませんでした

 

タカハタが1着で、チエリオは2着

 
その後、世代最強馬として天皇賞に参戦するタカハタに対して、チエリオはこの年初
開催される東京牝馬特別(府中牝馬S)に逃亡

 

62kを背負って当たり前のように東京牝馬特別を勝利したチエリオであったが、このま
まではチエリオはタカハタに勝てない馬として汚名を残すこととなってしまいます

 

 
そして、迎えた毎日王冠で

 

 

チエリオは、タカハタだけでなくレダ、クインナルビーといった先輩世代の最強牝馬
たちを定量戦で迎えることとなってしまいます

 

 
3歳牝馬のチエリオは54kg、タカハタ、レダ、クインナルビーは56kg
女の意地がぶつかり合うハンデなしのガチ勝負になった毎日王冠は、2年前の菊花賞
馬トラツクオーが1着になるも、そこからクビ差の2着にチエリオが入り、タカハタ
は3着、クインナルビーは4着という結果(レダは落馬)になり、最強牝馬世代に一矢
報いたチエリオ陣営は大きく溜飲を下げたことでしょう

 

 

その後のタカハタとの戦いは、中山特別でタカハタ1着、チエリオ4着
金杯でチエリオ4着、タカハタ8着というところでタカハタが引退

 

 

単純な勝敗では、チエリオの3勝2敗という形でこの最強牝馬世代論争は終結を迎えるこ
ととなりました

 

 
いくらハンデの貰いがあったとは言え、最強牝馬世代の最強馬相手にチエリオが勝ち越
していたというのは私自身意外でしたね

 
その後チエリオは、ハクリョウ、クリチカラ、フソウ、ファイナルスコアなどといった
牡馬連中に善戦するも勝てない競馬が続き、重賞勝ちとはなかなか縁のない馬となって
いきます

 
勝てば勝つほど過去の実績のためハンデを背負わされる時代で
60kgを超える斤量を背負うことも珍しくなかったチエリオ

 

 

しかも2000mを越えることが当たり前だった長距離主体の時代には、本格化した牡馬相
手に牝馬ではやはり不利だったのでしょう

 

 

昨年同様定量戦での再起を目論んだ毎日王冠でも、本格化したハクリョウに手も足も出
ずぶっちぎられ2着、ここぞとばかりに出走した目黒記念でも、ハンデ差のあったロイ
ヤルウッドとツルギサンを僅かに捕らえることが出来ず3着

 
当時はまだ有馬記念のない時代、クラシック勝ちのないチエリオに置いて残るビッグタ
イトルは天皇賞のみ

 
その叩き台として、結果的にチエリオ最後の重賞制覇となった中山記念を使った後秋の
天皇賞に向かうこととなります

 

カブトヤマ記念3着のハマサクラや、2年前のクモハタ記念の勝ち馬であるダイコロンブ
スが人気を集めるメンバーでは力が違ったのか、おおよそ1年ぶりの重賞勝ちを納めたチ
エリオ

 

 

満を持しての1番人気での天皇賞参戦になったのですが、不良馬場に脚をとられて4着

 

 
勝ったオパールオーキットは、前走の中山記念でチエリオ相手に最下位に負けているも
ののデビューから丸2年大井で走っており、力のいる馬場はなんのそのの馬でした

 

2着のダイコロンブスも前走の中山記念で9kgのハンデ差を与えながらも退けた馬

 

結局チエリオはその後は糸が切れたように成績が崩れ、翌年の3月に繁殖入り

 

ビッグタイトルの獲得はなりませんでした

 
もしもチエリオが皐月賞ではなく桜花賞という選択肢を選んでいたら…

 

1番人気という名ではなく、1着という実を取ることが出来たのではないかと思わ
ざるを得ません

 
もし今年の3歳牝馬で皐月賞への参戦を考えている陣営があるなら、名を取るか実を
取るかという選択肢にならぬよう、じっくりと考えて結論を出してもらいたいもの
ですね

 

 

それでは今週のお話はここでおしまい
予想の方に参りたいと思います

 

 

よろしくどうぞ~

 

 

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2月25日(土)

 

 

 

阪神11R           アーリントンC

 

 

 
世代限定戦が土曜日にしかないということで、こっちに逃げてきた次第

 

1番人気はダントツでペルシアンナイトだが、この馬自体少々底が割れて
いる

 
こうやまき賞でマークしたラップは、同距離の中京で行われた新馬当時
のクライムメジャーやアドマイヤミヤビには敵わず、

 
そこで2着に降したジュウヴァリアスも、先週500万で遅れを取る始末

 

しかも、ペルシアンナイトはレースレベルが落ちれば落ちるほど圧巻
の競馬ができるハービンジャー産駒

 

頭数が少なく、ペースが落ち着くことを考慮された人気であれば
結局は押し出される形の1番人気であり

 

連複系での安定感ほど勝ちきる力があるかどうかも疑問

 

 

ここは関東から参戦してきたディバインコードに期待してみたい

 
前走は放馬の影響があったにも拘らず2着

 

 

ハナ差で負けたナイトバナレットは、ムーヴザワールドの勝った
新馬戦でも荒削りながら力の片鱗を見せていた好馬体の馬

 

1400mと血統的には得意でなさそうな舞台であった京王杯でも
3着と格好は付けた形

 

今回のメンバーなら頭まであると見て、ここは単複での1頭推し
として本命にしたい

 

 

ディバインコード       単3,000円
複7,000円