どうもおはようございます
うまうまジェントル氏です
今週は土曜日にクイーンCが開催されます
無事ハナレイムーンも抽選を突破し、今年の牝馬戦線を盛り上げる
好メンバーが揃った印象
ファンディーナとホウオウパフューム以外の有力馬の力関係はある
程度ここで出揃うのではないかと思わせる楽しみな一戦になりそう
です
結果は、1番人気馬のアドマイヤミヤビが大外一気の末脚で完勝
本来はオークス目標だったそうですが、馬主の要望(推測)で桜花賞
に向かうことになったアドマイヤミヤビ
新馬戦でクライムメジャーに負けた以外はほぼ完璧な戦跡で春の仁
川に登場することとなりました
昨年も阪神JFとNHKマイル杯を勝ったメジャーエンブレムがこのクイ
ーンCを制しており、今や関東牝馬のクラシック登竜門としてある程
度の立ち位置を築き上げたイメージがありますが、それはクラシック
から逆算してローテーションを組む今でこその扱い
阪神外回りの桜花賞と東京2400のオークスを走る3歳牝馬にとって、
関東馬だと中山のアネモネSを使う意義が見えないというのが大き
な原因でもあるかもしれません
ですがこのクイーンC、ローテーションなど糞喰らえ、放牧などもっ
ての他という、とにかく馬を使いまくる一昔前の競馬では、実は一
部関係者から忌み嫌われていたレースでもありました
その昔、クイーンCを勝った馬は出世できないというジンクスがあっ
たのをご存じでしょうか?競馬という勝負の世界に身を置く関係者
には、そういったジンクスめいたものを信じる人も少なからずいる
わけで
結局、人事を尽くしたところで最後は天命に身を委ねる職業ですか
らね
まぁ、私たちにしても同様で、競馬の予想に関しても長年競馬を嗜
んでいれば、ハナ差で高額馬券を逃した経験などいくらでもあると
思いますし
どれだけ研鑽を重ねたところで運否天賦によって決する部分もある
以上、そのようなジンクスがどうしても気になってしまうのも仕方
のないことかもしれませんね
最も、実際にはタマミやテイタニア、ビクトリアクラウンといった
名牝もこのクイーンCで勝ち名乗りをあげていて、決して出世できな
い訳ではなかったんです
実はこのレースを勝った馬が出世できないというのは、クイーンCを
負けた馬の方が出世するというジンクスが曲解して伝わったものな
んですよね
特にこのレースで大敗した馬が後にオークスを制するパターンが極
めて多く、初期のクイーンCではルピナスにシャダイターキン、カネ
ヒムロ、ナスノチグサといった後のオークス馬がことごとく惨敗し
ていたりします
特に、テンモン、ダイナカール、メジロラモーヌといった今の若い
競馬ファンでも一度は耳にしたことのあるようなオークス馬たちが
連にすら絡むことが出来なかったのがこのクイーンC
よしだみほさんの漫画、馬なり1ハロン劇場でもこのレースを勝っ
たヒシアマゾンとエイシンバーリンが他の馬に煽られるという
お話があったはずです
そんな歴史があったため、クイーンCを勝たない方が良いなどという
変な噂が立ってしまったんでしょうね
実際にはこのレースが牝馬限定戦である以上、重賞勝利は繁殖という
ゴールへの最も分かりやすい手土産であり、クイーンCを勝った馬が
出世できないとかそういうことは馬にとっては関係ないはずなんです
が・・・(重賞自体勝つこと自体が立派なことですし)
クイーンCを勝つ=駄目
なんてことはありえませんよね
じゃぁ、逆に実際にクイーンCを勝った馬で不幸になった馬はいたの?
というのが今回のテーマであり今回のお話の主役にしました
クイーンCを勝った馬達の不幸自慢があったなら間違いなく有力なの
が、かの有名なサンエイサンキュー事件の張本人(馬?)である、サン
エイサンキュー
ただ、これは明らかに度を越えたレベルの人災であるためサンエイ
サンキューが呪うべきは自身の悪運ではなく馬主でしょう
今回のお話の主役である超絶不幸属性ホースは、クイーンCを勝った
ことによる大きな期待の隙間に生まれたちょっとした綻びが、最終
的に大きな悲劇を生んだ馬です
それが
タ カ イ ホ ー マ
タカイホーマの産まれ年は、奇しくも1969年
先週お話に出した花の47年組である最強世代と同期であり、華々し
く活躍した牡馬路線とは対照的に、その陰を生きた牝馬世代の主役
でした
タカイホーマは、父スパニッシュエクスプレス母ホマレタカイとい
う血統で
父スパニッシュエクスプレスは賢兄愚弟の代表とも言われる2冠馬
ニンバスの弟グレイソブリンの直仔であり、英国でミドルパークSを
制して日本に輸入された生粋の短距離馬
代表産駒であるアローエクスプレスは、現役時代は快速の先行馬で
鳴らすも、距離の壁とタニノムーティエというライバルに阻まれ結
局は無冠で引退
しかし、種牡馬入りした後は、そのスピードを産駒に伝え、クモハ
タ以来史上2頭目の内国産馬でのリーディングサイアーに輝いたと
いう異色の馬であります
内国産馬でリーディングサイアーを取った馬はこれ以降だとアグネ
スタキオンまで出てきません
輸入種牡馬全盛期にリーディングサイアーになったアローエクスプ
レスは、偽りない名種牡馬と言ってもいいでしょう
母のホマレタカイは、下総御料の基礎牝馬でありダービー馬トクマサ
の母である種正を牝祖に持つ良血で、父は菊花賞を勝った後本格化し
古馬になって以降は最強馬の名を欲しいままにしたハクリョウ
兄には天皇賞を16馬身という最多着差で勝ったことで有名なヒカルタ
カイがいるため、タカイホーマの繁殖としての血統価値は当時にして
は相当なものだったと思われます
関東の中住厩舎に入ったタカイホーマは、クラシックを目指す良血馬
として9月の札幌でデビュー
当時としてはかなり大型の牝馬で480kgを越える雄大な馬体を誇ってい
たタカイホーマですが、その身体の大きさが諸刃の剣ともなっており、
元々脚元があまり強くなかったそうです
当時ダートしかない札幌でのデビューはそれを考慮した上だったの
でしょう
2戦目の札幌の新馬戦で無事勝ちをあげると、初芝であった混合戦
の黄菊賞を人気薄にも関わらずあっさりと勝利し、一躍クラシック
候補に名乗りをあげたタカイホーマ
先週のヒデハヤテの時にもお話しましたが関東馬のタカイホーマは、
当時猛威を奮っていた馬インフルエンザでの関東競馬閉鎖の影響を
受け、そのまま3月まで休養することとなりますが、それが体質の
弱いタカイホーマにとっては好を奏したのか、不安があった脚元に
も随分と余裕が出てきて、初戦の京成杯ではヒデハヤテとランドプ
リンスの4着に好走
続くクイーンCでは、持ったままで先頭を躍り出ると直線に入って
も脚色は全く衰えず、そのまま後続を引き離す一方
2着のナオユキとはついた差が実に5馬身
この馬にとっての最大のパフォーマンスとも言える圧勝劇で名実と
もに今年のクラシックの主役として躍り出ることになりました
ちなみに2着のナオユキは、函館の新馬を3馬身差で快勝した後、
特別戦を経由してクイーンCに参戦
タカイホーマもびっくりの500kgを超える牝馬で、当時としては規
格外の大型馬の印象そのままにアチーヴスターの回避したオークス
でもそのまま2番人気に推された(無論1番人気はタカイホーマ)
相応の実力馬でありました
仔を残せなかったタカイホーマとは対照的に、母としてもミスター
シクレノンやミスタートウジンを産んだことでも有名ですね
もしも今年のクイーンCで5馬身差で圧勝するような馬が出てきた
ら、その馬の評価はどうなるだろうか?
そんな想像してみてください
その後桜花賞の大本命馬として揚々と関西に輸送する準備をしていた
タカイホーマですが、ここでクイーンCを勝ったことの小さな綻びが
生じます
なんとクイーンCでの圧勝劇の反動が出て、元々体質の弱かったタカ
イホーマは輸送が出来ずにそのまま関東に滞在することとなります
当時は今ほど交通網も馬運車も発達しておらず、輸送そのものが馬に
とって大きな負担になる時代
遠征の回避は、輸送後レースを使うことを鑑みた場合、当時のタカ
イホーマの状態を判断した上でどうしようもなかったのかもしれま
せんね
ただ、体調が悪いにも関わらず、馬を仕上げた手前、桜花賞の裏開
催である地元のカーネーションCを使ったというのが如何にも昭和の
競馬らしいのですが、そこも4馬身差であっさり勝ってしまったタ
カイホーマ
ちなみに桜花賞の1番人気は阪神3歳Sでヒデハヤテに8馬身千切
られたシンモエダケ
東京マイルで行われたカーネーションCの勝ちタイムは1分36秒5
もし桜花賞に出ていたら1番人気での出走は間違いなかったでし
ょうし、カーネーションCの勝ち時計は同日阪神で行われた桜花賞
より2秒以上速かった手前、陣営の悔しさはひとしお
勝てたはずの桜花賞をみすみす取り逃した…
この結果が尾を引いて、この馬に大きな勲章を獲らせようと血眼に
なった陣営が後の悲劇を起こすことにはまだ知るよしもなしでした
馬を立て直したタカイホーマ陣営は、続く4歳牝馬特別(フローラS)
で、桜花賞1番人気のシンモエダケらを寄せ付けずに快勝
その評価を磐石のものとして本番のオークスに臨むこととなったの
ですが
ここで大きな問題がでてきます
タカイホーマの血統です
父は名うての短距離馬で現役時代は1200mでの実績しかないスパニッ
シュエクスプレス…いくら母父が菊花賞と天皇賞を制したハクリョ
ウで、兄も天皇賞を勝っていようと流石にオークスは長いのではな
いかと距離不安説が囁かれ始めることになります
陣営は、足りない確率は勇気で補えと言わんばかりに距離不安説を
一蹴
どの馬も3歳牝馬に2400mの壁は厚い以上そんなの関係ないと母の血を
信じて圧倒的1番人気で送り出したわけですが、結果はタケフブキに
1馬身1/2及ばずの2着
タケフブキは前走の4歳牝馬特別で1馬身差の2着に下した馬で、勝負
付けは済んだように見えた馬
だけどそこが血統の面白いところ
タケフブキも兄は天皇賞馬、しかもダービーと菊花賞まで勝っている
というおまけ付き
そう、タケフブキは名うてのステイヤーであるタケホープの妹だった
のです
母父も欧州の名ステイヤ―でダービー、キングジョージ、セントレジ
ャーを連勝で制したタルヤーの直仔
しかも父は最強馬シンボリルドルフを筆頭に数々のクラシックホース
を送り出すことになる名種牡馬パーソロン
1800mの4歳牝馬特別でタケフブキに付けた1馬身の差は、2400mのオー
クスに舞台が代わって、血統によってひっくり返されたと言っても過
言ではないでしょう
この結果に躍起になった陣営はなんとしても最後の勲章であるビクト
リアC(エリザベス女王杯)を獲るために目の色を変えて挑むこととな
るのです
負けるはずのない桜花賞をみすみす取り逃し、負けてはいけないオー
クスを血統差だけで持っていかれた
これだけの馬を任されて無冠で終わるなどあってはならない(戒め)
休み明けのクイーンSを快勝した後は、全てをビクトリアカップに全
力投球
体質の弱さで輸送が叶わなかった桜花賞の反省を踏まえ、当時として
は珍しい関東馬の栗東への長期滞在を敢行し、本番のビクトリアカッ
プが開催される一月前に栗東に入厩と磐石の構えで挑むタカイホーマ
叩き台に使う京都牝馬Sも、ゆるゆるの作りで本番を見据えた仕様
脚元の負荷を考え、最後の直線も無理に勝ちにいかなかったとさえ
言われています
事実、タカイホーマは勝ち馬であるセブンアローからコンマ1秒負け
たのですが、それも折り込み済みだったはずと言われています
ただそこで最悪の事態が待ち受けていました
満を持してビクトリアカップに挑むはずだったタカイホーマだったが、
元々の体質の弱さと長期滞在による慣れない環境の変化についていけ
なかったのか、脚元の不安が直前になって悪化
ここまでやってきて…
本来なら出走するかも微妙な状態だったのですが、ここまでこれだけの
馬を預かって無冠だった負い目と、わざわざ慣れない栗東滞在まで敢行
しての回避はあり得ないというのが陣営の判断
更に逃げた桜花賞の後悔が頭を掠めたのでしょう
逃げて後々後悔するよりも、やって駄目なら諦めもつくという理論が
頭をもたげたのか・・・
結局1番人気でビクトリアカップに出走することになったのですが
それが最大の悲劇を生むことになります
1番人気を背負って中段から虎視眈々と競馬を進めるタカイホーマ
でしたが、向こう正面で他馬との接触したタカイホーマはそのまま
右後脚の腱を断裂
騎手の必死の抑制も効かず3コーナーまで後脚を庇いながらふらふ
らと走り続け、次は左前脚を骨折
更に淀の下り坂で加速した時に支えきれずに右前脚も骨折
両前脚と右後脚が駄目になったタカイホーマはそのまま前のめりに
転倒して、更に左脚の骨がその衝撃で真っ二つに割れ、480kgの馬体
にめり込むように折れた骨が身体を突き破ってそのまま心臓を一突き
レース中に出血多量でそのまま死亡してしまったのです
泣き面に蜂、弱り目に祟り目
不幸が重なることを表す諺や慣用句はいくつかありますけど、ここま
で酷いコンボが起こると教訓にもならないですよね
日本で競馬が開催されて100年余り
私も今まで馬によるレース中の不幸な事故はたくさん見ましたし、転
倒による頸椎の骨折での即死も見ましたが
ただ、レース中に失血死を起こしてしまった馬など前代未聞
やって後悔するなら諦めもつくという考えは、これ以上ない後悔に塗
りつぶされてしまったことでしょう
もしもタカイホーマが桜花賞に出走していれば…クイーンCであのよ
うな疲労の残る圧勝劇を繰り広げなければ…
タカイホーマは恐らく桜花賞を圧勝したんじゃないですかね
タカイホーマとその陣営を支える大きな勲章が何かあれば、このよう
な未曾有の悲劇は防げたのかもしれませんね
今週のお話はここでおしまい
それでは今週の予想です
よろしくどうぞ~
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2月12日(日)
京都11R 京都記念
本来なら世代限定の共同通信杯を狙うべきなのかもしれないが
こちらの人気は三つ巴
京都記念は昨年のダービー馬マカヒキが出てくる以上、この馬の
取捨選択を決めてかかって予想をしていきたい
無論、マカヒキは消し
正直、ダービー以降のマカヒキは相当ちぐはぐなローテーション
に振り回され、扱いに困るの言うのが本音
ぶっちゃけ、勝ったニエル賞も内容はなかったように思えたし
負けた凱旋門賞は良いところを探す方が難しい
なら本命は調教、レース内容ともに充実一途のミッキーロケット
前走2kg減のシャケトラを競り落とした内容は割と秀逸で
カフジプリンスやレッドエルディストといった4歳の重賞
勝ち負けレベルの馬からは完全に抜け出した感じ
仕上がり途上とはいえ、サトノダイヤモンドと好勝負した
神戸新聞杯の内容が、今になってフロックでないことを思い
出させる
サトノクラウン、マカヒキといった海外帰還勢の評価が難し
い以上は、分かりやすく本格化した馬を狙いたい
ミッキーロケットは先週も東西重賞を制した音無厩舎の馬で
あるが、昨年以降、番頭でもあった某調教助手が調教を控え
るようになって好調が続いている
厩舎としても一皮向ける可能性のある飛躍の年になるかも
しれないので、ミッキーロケットに限らず今年の音無厩舎
は要注目かもしれない
ミッキーロケット 単4,000円
複6,000円



