引き続き、おさらいです。
初見の方は、オークス予想1~4を読んで
桜花賞時点での状態・情報を頭に入れてください。
オークス予想1から見る
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以下、こやぶ厩舎メルマガ #465【回顧&収支2】より抜粋。
なお、当号は有料会員さまのみに配信したものです。
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夜分に失礼いたします。
今号は有料会員さまのみにお送りしています。
【桜花賞・本回顧】
2015年度の桜花賞、勝負度Aで挑むも、
軸馬の惨敗によりヒモ決着に終わった。
超スローで行ったのにもかかわらず
4Fでは誰も動かず、直線3Fだけの超瞬発力勝負。
そんな展開でも、軸馬アンドリエッテは読み通り
上がり最速の脚を使って伸びてきた。
ルージュバックよりもレッツゴードンキよりも
ココロノアイよりも鋭い脚を使った。
差し脚ナンバーワンの見立ては間違いではなかったし
今後を憂うような力負けでもない。
敗因は、騎手心理を読み切れなかったこと。
好発から1F過ぎでハナを奪ったレッツゴードンキ。
ここでドンキの圏内は無いと思った。
しかし誰も動かず、結果ドンキの大楽勝を許した。
この結果を招いた原因を突き止めたい。
まず、後ろの差し馬勢はなぜ動かなかったのか。
後ろのキーとなったのはもちろん、戸崎騎手とルージュバック。
川田騎手はルージュバックを執拗にマークし、真後ろをついていく構えだった。
真後ろなら差し馬のルージュバックは下がってこないので進路が取れるし、
戸崎騎手ならゴール前で照準を合わせた乗り方をするため
ルージュにキレ勝ちできれば=1着、という図式ができあがっていたのだろう。
レース前のインタビューにて
「無敗馬3頭でもルージュが抜けている」とは川田騎手談。
ワンツー濃厚としたが、逆に言えば共倒れの可能性も孕んでいたということ。
ではルージュのスパートが遅れたのは、そして進路を確保できなかったのはなぜか。
この原因はココロノアイ騎乗の横山騎手とキャットコインの柴田善騎手。
ココロノアイには長く脚を使えるという利点があり
キャットコインにはギアチェンジが速いという武器があった。
これを踏まえてルージュバックを負かすにはどうすればいいか。
早めに仕掛けて抜け出しても、ルージュの末脚に屈する可能性がある。
ベテラン2人は「早め抜け出しよりも、封じたほうが得策」という判断を下した。
ココロノアイはルージュの外、半馬身前にピッタリとつけ
キャットコインも外側、半馬身後ろをマーク。
そのまま直線まで外を塞ぎ通して、
諦めた戸崎騎手がインを選択したところで
横山騎手は瞬時に外へ振って自分の進路を確保。
まさに神業。敵ながらあっぱれ、と言わざるを得ない。
ぜひJRAのHPでパトロールビデオを確認してほしい。おそらく笑ってしまうはずだ。
鬼気迫るマークに遭って行き場を失った戸崎騎手
人気馬を封じ切ってなお、自分は圏内を目指した横山騎手
持ち味を生かして無敗を守ろうとした柴田善騎手
人気馬の後ろを通ると決めていた川田騎手
後ろでは静かなせめぎ合いが行われていた。
これを見ると、それぞれの馬の武器に違いはあれど、
騎手の実力差というものを実感する。
川田騎手はまだまだ考えが甘く
横山騎手はどこまでも勝つことに執着していた。
読み通り前が流れていたなら
アンドリエッテ・クルミナル・ココロノアイあたりで決着していただろう。
VTRをぜひ見てほしい。尊敬できる騎乗だった。
次に、なぜ先行勢は動かなかったのか。
これは結論から行く。
ズバリ、「人気(および実力)がないと分かっていたから」である。
ドンキ以外の先行勢はどれも人気薄。
なぜスローなのに早く仕掛けないんだ!!と言われても、
「最初から勝てると思って乗っていない」ということ。
・勝ちに行くには早めに動いて先頭を奪う必要がある。
・しかし早めに動くと脚が上がる。
・そうなると、もともと能力が足りないので、着順が悪くなる。
・ならば勝ちに行くより、なだれ込みで着を拾おう。
非常に明快。
2番手以降の馬が早めにドンキに並びかける道理など、皆無に等しかった。
わざわざスローで流れているのに
能力が足りない馬が勇み足を踏むわけもなく。
差し馬が来ないなら儲けモノ、というスタンスに気付くべきだった。
つまりドンキがハナに立ち、
2番手以降に色気を持たない人気薄がズラリと続いた時点で
「ドンキの圏外」ではなく「ドンキの楽勝」が確定していたのだ。
理不尽でも何でもなく、それぞれが思惑通りの競馬。そしてこの結果。
腑に落ちてからは早かった。騎手心理の深みを垣間見た気がした。
騎手の置かれた立場、自分の馬の性能・特徴、そして当日の枠・馬場・展開。
それぞれを正確に分析できれば、
騎手心理もより鮮明に見えてくるものだと感じさせられた一戦だった。
今回の失敗を活かして
今後の予想に役立てればと考えている。
「競馬は世界一難解な推理小説だ」という
ヘミングウェイか誰かの名言があるが、心から同意する。
競馬は本当に奥が深い。
以上を2015年・桜花賞の回顧といたします。
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オークス予想5に続きます。
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